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移行支援とは

移行支援とは

近年の小児医療の進歩により多くの命が救われてきましたが、原疾患自体や合併症が持続しながら思春期・成人期を迎える患者も多くなってきています。こうした患者に対して、小児医療も成人医療も、現状では必ずしも適切な医療を提供できていません。

移行支援とは、以下の3項目を柱として、患者が小児を中心とした医療から成人を対象とする医療に切り替えていくにあたり、継続的で良質、かつ発達に即した医療サービスを提供することを通して、特別な医療ニーズを持つ子どもたちが生涯にわたり持てる機能と潜在能力を最大限に発揮することを目的としたものです。(AAP,2002)

  • 1.自己決定の尊重
  • 2.年齢とともに変化する病態や合併症への対応
  • 3.人格の成熟課程に基づいた年齢相応の医療

成人医療への移行支援には、患者の自律(自立)支援と医療体制整備の2つの大きな課題があり、これら双方が両輪として機能することで、初めて適切な移行期ケアが促進されます。

患者の自己管理能力を最大限に引き出す支援を行い、個々の患者が自らに適切な医療を活用することができるようになるためには、小児患者がその成長に伴い、自らの健康情報や健康管理スキルを身に付け、成人期医療に対する心構えを習得し、ケアを中断することなく新しい医療提供者に移行できるよう支援する必要があります。

あわせて、小児期に発症した慢性疾患に罹患した患者の年齢と共に変化する病態や変遷する合併症に対応できる医療を継続して提供できる、診療体制を整備することも必要です。

現状では、成人期を迎えた小児期発症の疾患を持つ患者を診療できる施設の不足、加齢に伴う新たな病態への対応困難、患者・家族と小児科医の信頼感による移行への抵抗感、患者の疾患理解・自己管理不足などの問題がありますが、これらの問題を乗り越え、年齢に応じたプロセスを踏みながら上記の3項目を達成していくことが求められています。